いよいよ船体の外板貼り付け。船体形状の仕上がりを左右する重要工程で、帆船模型と言ったらまず思い浮かべる制作過程かと思う。とにかく見よう見まねで進めようかと思う。
下処理
まずは板材の貼り付け部となるキールとフレームそして補強材端面に整形加工を施す。特に船首尾部、船底部の曲率が大きくそのまま貼り付けたのでは形状が歪になったり隙間が生じたりする。
一重貼りと二重貼り
外板貼りにはフレーム上に外板を一枚だけ貼り付ける一重貼り(実船は一般的にこのタイプ)と、下貼りをした上に薄い化粧板を上貼りする二重貼りがある。それぞれの特徴は以下のとおりであるが、今回のキットは二重貼りとなっている。
- 一重貼り、、、2mm程度の厚さの外板を貼っていく。そのまま外観を決することになるので精度よく貼り付ける必要がある。また、貼り終えた後、温度変化による割れを防ぐために内部にコーキングを施す必要がある。
- 二重貼り、、、多くのキットがこのタイプ。下張りをすることで二重目の仕上げ貼りをする前に船体のカーブを確かめながら修正することができるので初心者向けともいえる。ただし仕上げ貼り用の板は0.5mm程度の薄いものなので、カーブになじまず浮き上がってきやすい。
外板の材質
下貼りの板材はデッキ材としても使用したラミン材。2mm厚ともなると(基準ラインは3mm厚)それなりの剛性感で船体のカーブに添わせるためには何かしらの曲げ加工が必要となる。その方法としては下記3点。
- 水につけて曲げる、、、本キットの指定方法で今回採用の方法。一時間ほど水につけ作業中の乾燥を防ぐためにぬれタオルにくるんで作業に臨んだ。そもそも水溶性である木工用ボンドの使用に対しても特に問題なく手軽な方法であるといえる。
- アイロンなどの熱で曲げる、、、水につけただけでは曲がりにくい場合、水につけた後にアイロンで曲げ加工をする。ブルワークの曲げ加工においてはこの方法を採用したが、2mm厚ラミン材ではそこまでは不要であった。
- 専用ペンチで曲げる、、、はさんだ部分にV溝の跡がつくように先端整形されたペンチを用いる。曲線内側に跡がついてしまうので内部が目につくような部分には適さない。
貼り付け
初めの一本は基準ラインとなる位置に5×3mm厚の板材を貼り付ける。あらかじめフレーム側に溝加工が施してあり、そこに差し込むように配置していく。接着には木工用ボンドを使用し、乾燥までの固定として小釘(amazon)で固定する。フレーム厚が薄いので釘は細いほうが良い。ホームセンターやネットで探してみたが一般的には0.9mmが最細のようである。長さは10mmを使用したが丁度良い使用感であった。
貼り付けの順番であるが一般的に下記の通り。今回は無知のためこの手順を無視してしまったが、下貼りのため美しさを気にしないのであれば大きな問題は生じない。
- 基準板を貼る
- 基準板から下側のエリアに対し、基準板側、船底側双方から貼り進める。
- 基準板から上側のエリアに対し、基準板側から貼り進める。
- 左右は交互に貼る
船首、船尾、中央部の貼り方
平板を曲面に貼るので、船体面積と板面積に生じる誤差を修正する必要がある。
まずは船首部。船首部は中央部に比べ船体面積が小さく板材先端を削り細くしておく必要がある。削る範囲とその量はなかなか難しいところである。こだわるならフレームの貼り付け長さ(下図の黄線部)を貼り付け枚数で割った長さを計算しておけばよいのだが、現物合わせでなんとか凌ぐ。そもそもこの作業の必要性に気付くのが遅れ一枚当たりの修正量が大きくなってしまったのもあって、あまりきれいな仕上がりとはならなかった。
次に船尾部。こちらは船首側とは逆に一般的に隙間が生じるため、後からこの隙間形状に整形した外板材を貼り付ける。船底と基準板の間に(一般的には3ヶ所ほど)この隙間ができるように貼り進めるのがセオリーのようだが、実際には船底側ですべて調整した(予習をせずやってしまう癖)。今回は下貼りであるため特に問題とならないが、一重貼りの場合は見た目の美しさを損なう貼り方である。
最後は中央部である。この部分も隙間が生じてしまうので隙間埋め材を貼り付ける。
↑ぴったりくるまで調整する。
下貼り完了
フレームの修正から下貼りをすべて終えるまで丸二日ほどかかっただろうか。ろくに下調べもせず進めてしまったので、だいぶセオリーとは違う手順となり反省も多く残るところだがなんとか完了することができた。出来栄えはともかく、下貼りとして隠してしまうにはもったいないような壮観さである。
隙間と凸凹だらけの表面はパテとやすりがけで修正するのでそれは次回にて。
続く。
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