【サンマルタン号製作日記⑩】ラダー製作

ラダーの製作にかかる。キット付属のパーツは、ラダー本体にプレカットの合板とヒンジ用に簡易的に成型した真鍮プレートと線材のみ。取説にも製作方法はほとんど記載がなかったため情報を収集しながらディテールアップしてく。

目次

ラダーの構造

まずは操舵の基本的な仕組みから。ラダー上端にあけた四角い穴にティラーを差し込み、ティラーを左右に動かすことによって舵を切る。この構造は帆船時代を通じて基本的には変わっておらず現在でも小型ヨット等で使われている。ただしティラーを動かす方法においては1720年ころに大きな変化があった。1720年ころ以前はティラー先端にウイップスタッフを連結することで力を軽減し(図1)操舵していた。1720年頃以降はこれに代わりラットを使って操舵するようになり(図2)、より大きな切れ角で操舵できるようになった。

今回の製作においてはこの辺りは省略するが、いつか動作も含めて再現してみたい。

図1 ウイップスタッフによる操舵
図2 ラットによる操舵

ヒンジ成型

いよいよ製作にかかる。キットパーツはこれに加えてφ1.5の真鍮線材のみで少々さみしいので、真鍮パイプを追加購入しディテールアップしてみる。

φ3パイプをプレート中央に差し込みはんだ付け。オス側のほうはさらにパイプ内に線材を挿入しはんだにて固定する。ちなみにヒンジのメス側はガジョンと呼び船体側へとりつけ、オス側はピントルとよび舵側へ取り付ける。

ブルーイング

真鍮は加工性がよく金色の色味も美しいのだが、あまりきらびやかなのは趣味に合わないので黒染め処理することとした。塗装だとせっかくの金属の質感が失われるので科学的な表面処理をほどこす。しらべてみるとブルーイングと呼ばれる処理がモデルガンなどでよく利用されているようだ。名前の通りやや青みがかった仕上がりとなり上手く処理すれば本当に美しく仕上がりそうである。使用する薬剤は基材により違うので、今回使用する真鍮にあわせて「亜鉛用」をチョイスした。

G.スミス.S シャイニーブルー ガンブルー液 - 亜鉛用 - 100ml

処理の手順は下記の通り。

  • 表面を全体的に磨く(表面の汚れや酸化膜を除去し反応性を良くしておく)
  • ブルーインク液に浸漬する(変色の様子をみながら、1~2分程度。液温によって異なると思われる)
  • 水に浸漬し洗浄
  • 取り出してペーパーで水分除去
  • 刷毛でスラッジを除去

あまり長時間つけすぎると真っ黒になり、表面の反応層がボロボロ脱落していく。適度な時間で終了させ、刷毛クリーニング後に再処理を何度か繰り返すと比較的きれいに仕上がったように感じる。

舵本体への取り付け。瞬間接着剤と鋲を用いて固定していく。

船体へ取り付けて完成。

つづく。

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