【サンマルタン号製作日記⑮】大砲の製作パート2

大砲製作にあたり滑車と索具をスクラッチビルドでディテールアップしていく。材料を切り出し一から部品を作っていくのは初めての取り組みだったのでいろいろ苦労はあった。当然キットには図面も付属していないので実船はどうであったのかの確認、量産含めた加工方法の検討など実際に取り組むまでに結構時間を要してしまったが、これこそが模型製作の醍醐味でもある。将来的にはフルスクラッチで架空船を作ってみたいと思っているのでそのためのはじめの一歩となったかと思う。

↑youtube
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大砲に付帯する索具

大砲に付帯する索具は以下の3つがある。いずれも戦闘の際に大砲をコントロールするための装置。なおテークルとは滑車のことで帆船には大砲以外にもいたるところにロープとテークルが配置されている。

  • ブリーチングロープ(発射の反動で大砲が後方に飛んでいかないように船体に固定しておく)
  • ガンテークル(大砲の向きを変える)
  • トレインテークル(大砲を後方へ引っ張る)

このうち今回作るのはブリーチングロープとガンテークルのみ。大砲の後方に配置するトレインテークルはデッキ上にスペースがないため今回は割愛した。

ブリーチングロープの大砲への取り付け方だがイギリス式とフランス式(大陸式)との2種類があるようだ。前者は砲身の後端部に括り付けるもので後者はキャリアに設けた穴にかけるもの。実船がどうであったのかは不明であるがスペイン船ということもあり後者を選択した。

このあたりの参考書はなんといても白井一信さんの技法書です。

↑大砲の索具(白井一信著;帆船模型製作技法より)
↑技法書(バイブル)

テークルサイズは4×3×2厚でいく。寸法の設定は、まずロープ径を現実的に最小径となる#90とし、通り穴はロープが貫通可能な最小径としてφ0.5とした。これに基づいてW滑車も作れるようにテークルサイズを検討し最終的に上記寸法に落ち着いた。やや大きめのデフォルメとなっているのだがこれが限界。。。

↑試作中(サイズ感を検討する)

テークル(滑車)の製作

いよいよ製作段階。結構量があるのであらかじめ量産体制をとる。テークル厚みとおなじ2mm厚のウオルナット板を短冊状に切り出し写真のようにのりで貼り合わせておく。この状態でロープ通り穴と溝加工を施したあと長手方向のサイズで切り出すと滑車6ヶ分のまとまりができてくる。このまま楕円状にまとめて研削し分離する方法をとった。ジグらしいものもろくに用意せずほぼフリーハンドでやったため、実際のところ量産効果があったのかは若干疑わしい。ひとつづつ整形していったほうが良かったかもと思わなくもないが、このような工夫を重ねていき少しづつでも技能向上につとめる姿勢が重要なんです。

↑テークル量産方法
↑テークル完成品

フック製作

フックも真鍮線から作っていく。部位に応じてφ0.8とφ0.5のワイヤを使ってひとつづつ曲げ加工していく。多数個取りも検討したのだがなかなかうまくいかず断念。整形の様子は動画にも出ております。最後にブルーイングして完成。

ところでこのところブルーイング液はなかなか入手できないようだ。ずっと使っていたG.smithを切らしたので購入しようとしたのだがどこも売り切れ。バーチウッドも然りでどこも買えなさそう。いろいろ探索した結果ようやく出てきたのがIndi ガンブルー。取り急ぎ選択肢がほかになかったので使ってみることにした。使い方の問題なのかもしれないがあまり黒くならないようである。液に浸漬すると十分黒くなるのだが水洗いした後刷毛でブラッシングするとかなり色落ちがする。何度か繰り返してもそれほど状況が変わらず、くすんだ真鍮色といった感じ。これはこれでよい雰囲気ではあるので使い分けかと思うのだがしっかり黒くなるものもしっかり確保しておきたい。

↑Indi ガンブルー
↑フック(左上から時計周りに、ブリーチングロープ端面、ガンテークル大砲側、ガンテークル船体側)

テークルASSY

各部品の段取りが終了したのでガンテークルをアッセンブリしていく(ロープをかけていくだけ)。テークル間距離を一定に保ち両面テープでテークルを数量分あらかじめ固定して一気に組んでいく。同じ作業の繰り返しは結構しんどいのでどうすれば効率的にできるかを考えることを楽しむしかない。

↑テークルにフックをとりつけたところ。
↑ガンテークル
↑量産の様子

はじめてのスクラッチビルド、やってみればできるものだ。次回は船体に取り付けてデッキ上を完成させる。

つづく。

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